いつものワックスが、いつものように届かない時代へ ― 清掃用品の品薄・入荷遅延にどう備えるか
このコラムは、当店のオリジナルワックス「RISING STAR 煌Ag+」の一時的な品切れと、最近当店で実際に起きている清掃用品・関連資材の注文急増をきっかけに、これからの資材調達について考えるものです。単なる在庫管理の話ではなく、清掃業者の皆様が現場を止めず、お客様との約束を守るために、今どのような備えが必要なのかを一緒に考えていきます。
まず、当店の欠品についてお詫び申し上げます
当店のオリジナルワックス「RISING STAR 煌Ag+」について、現在、一時的に品切れとなっており、入荷までしばらくお時間をいただく状況となっています。
まず、この商品を必要としてくださっているお客様に、深くお詫び申し上げます。今回、当店の主力製品である「RISING STAR 煌Ag+」を品切れとさせてしまったことには、メーカーからの供給事情だけでなく、当店側の需要予測や在庫確保が十分ではなかったという落ち度も含まれています。誠に申し訳ございません。
商品名にも記載しております通り、当ワックスは2026年5月中旬に入荷予定です。本稿執筆時点は2026年4月下旬ですので、入荷まであとしばらくお待ちいただくことになります。すぐに必要とされているお客様にはご不便をおかけしてしまい、心苦しく感じております。
また、この品切れの背景には、2026年4月に入ってから当ワックスのご注文が急に増えたこともあります。おそらくお客様の中にも、現在の資材供給をめぐる情勢を的確に捉え、早めに動かれた方が多かったのではないかと想像しています。
「RISING STAR 煌Ag+」は、銀イオン・抗菌剤配合、透明感のある仕上がり、優れた作業性、速乾性、歩行時の安全性などを特長とする、当店にとって非常に重要な樹脂ワックスです。多くのお客様に継続してご利用いただいている製品だからこそ、今回の欠品は大きな反省点として受け止めています。
ただ、今回の件は一商品の欠品だけで終わる話ではない、と私たちは感じています。
今回は、これまでの欠品とは少し様子が違う
これまでも清掃用品の世界では、商品が一時的に入らない、納期が延びる、突然仕様が変わる、といったことはありました。メーカーの生産都合、原材料の切り替え、輸入品の遅延、需要の集中。そうした理由による品薄は、決して珍しいことではありません。
しかし今回は、少し様子が違います。
メーカーからは「今後も手配できなくなる製品が増える可能性がある」という話も出ています。さらに、限られた在庫を既存のお客様に優先して出荷するため、新規の送り先には対応できない場合がある、という連絡も届き始めています。
メーカーとして、これまで継続して取引してきた既存のお客様を守ろうとする判断は理解できます。限られた数量しか用意できない以上、まずは従来から使用している現場を止めないようにする。これは当然の考え方です。
しかし、ネットショップ・ECとして、初めてのお客様にも必要な商品を届けてきた当店にとっては、非常に大きな影響があります。ECの価値は、地域や取引履歴に関係なく、必要な方が必要な商品にたどり着けることにあります。その前提が揺らぎ始めているのです。
当店にも、いつもとは違う注文の動きが出ています
最近、当店で特に目立っているのが、使い捨て手袋への注文の集中です。
通常であれば、これほど多くの注文が一気に入る商品ではありません。もちろん清掃業者の皆様からのご注文もありますが、現在の動きを見る限り、その多くは清掃会社ではなく、他の業種・業態の会社からのご注文ではないかと感じています。
おそらく、いつもの調達先で仕入れができなくなり、ネットで探した結果、当店にたどり着かれているのだと思われます。同じような動きは、使い捨て手袋だけでなく、固形燃料についても起きています。
ただ、当店もすべてのご注文に対応できるわけではありません。数量や入荷状況によっては、ご注文をお受けできない旨をお伝えしなければならないケースも出ています。
これは、特定の商品だけに起きている一時的な動きというより、さまざまな業界で「いつもの仕入れ先から、いつものように商品が入らない」という状況が広がっていることの表れのようにも感じます。清掃用品に限らず、必要な資材をどう確保するかという課題は、すでに多くの業種に共通する問題になり始めているのではないでしょうか。
「注文すれば届く」は、本当に当たり前なのか
ここで、清掃業者の皆様にも一度考えていただきたいことがあります。
いつも使っているワックスや洗剤、パッド。必要になった時に、これまで通りすぐ手に入ると、私たちはどこかで思い込んでいなかったでしょうか。
床ワックス、剥離剤、床洗剤、エアコン洗浄剤、フロアパッド、ブラシ、ホース、部品、容器。清掃用品の多くは、単体の商品として見ると、ごく身近な道具に見えます。しかしその裏側には、原油、ナフサ、化学原料、樹脂、界面活性剤、添加剤、容器、船便、トラック便といった、非常に長い供給の連鎖があります。
中東での紛争や海上輸送の混乱が報道されても、すぐに現場の棚から商品が消えるわけではありません。ニュースを見た翌日に、いきなりすべての清掃用品が入らなくなるわけではない。だからこそ、危機感を持ちにくいのです。
しかし、影響は時間差でやってきます。
原油・ナフサ不足の影響は、時間差で現場に現れる
床ワックスや洗剤は、単に水と薬剤を混ぜただけの製品ではありません。樹脂ワックスには樹脂エマルションや可塑剤、添加剤などが関わります。洗剤には界面活性剤、溶剤、アルカリ剤、酸剤、キレート剤など、さまざまな化学原料が使われます。さらに、それらを入れる容器やキャップ、段ボール、ラベル、輸送に使う燃料も必要です。
原油やナフサの供給が不安定になると、まず上流の化学原料に影響が出ます。次に、化学メーカーや原料商社の価格や納期に影響が出ます。その後、清掃用品メーカーの生産計画に影響が出ます。そして最後に、販売店や清掃業者の手元で「入荷未定」「一時休止」「価格改定」「出荷制限」という形になって現れます。
つまり、ニュースとしての混乱が少し落ち着いたように見えても、清掃用品の供給不安がすぐに終わるとは限りません。むしろ、原料不足や物流混乱の影響は、数週間から数か月遅れて現場に届くことがあります。
ニュースの混乱は一瞬で伝わります。しかし、原料不足の痛みは遅れて、現場の棚に現れます。
品切れで困るのは、商品が買えないことだけではない
清掃用品の品切れで本当に怖いのは、「その商品が買えない」という単純な問題だけではありません。
たとえば、いつものワックスが入らない場合、別のワックスを使えばよいと簡単に考えたくなります。しかし実際には、既存のワックス皮膜との相性、床材との密着性、乾燥時間、光沢感、滑り感、塗りやすさ、臭い、メンテナンス方法など、確認すべきことが多くあります。
いつもの剥離剤がない場合も同じです。洗浄力が強すぎれば床材を傷める可能性があり、弱すぎれば作業時間が伸びます。いつものパッドがなければ、洗浄力や傷の入り方、作業スピードが変わります。エアコン洗浄剤やリンス剤でも、素材への影響や作業後の仕上がりに違いが出ます。
つまり、資材の変更は、単なる買い物の変更ではありません。現場品質そのものに関わる判断なのです。
これから必要なのは、無理のない余裕を持った手配
こうした状況の中で大切なのは、慌てて大量に買い込むことではなく、自社の現場に必要な分を少し早めに、少し余裕を持って考えておくことだと思います。
「なくなりそうになったら注文すればいい」という従来の感覚だけでは、これからの不安定な供給環境に対応しきれない場面が増えるかもしれません。
そこでおすすめしたいのは、無理のない範囲で、いつもより少し余裕を持って手配しておくことです。必要な時に必要な資材が手元にある。それだけで、現場の段取りも、お客様への対応も、ずいぶん落ち着いて進められます。
余裕を持った在庫は、単なる保管品ではありません。現場を止めないための安心材料であり、お客様との約束を守るための小さな備えです。
1. 定番資材の使用量を把握する
まずは、自社で毎月必ず使う資材を洗い出すことが大切です。床ワックス、剥離剤、床洗剤、パッド、モップ、ダスター、紙パック、エアコン洗浄剤、養生資材、ホース、カプラー、機械の消耗部品など、現場を止める可能性のある資材をリスト化します。
そのうえで、月にどれくらい使っているのか、繁忙期にはどれくらい増えるのかを把握しておく。必要量が見えてくると、「今のうちに少し多めに持っておこう」という判断もしやすくなります。
2. いつもの発注タイミングを少し早める
「残り1本になったら注文する」では、すでに遅い場合があります。特にワックスや剥離剤のように、現場品質に直結する資材は、いつもの発注タイミングを少しだけ早めておくと安心です。
大きく構える必要はありません。たとえば、次の現場で使う分だけでなく、その次の現場の分まで見ておく。繁忙期に入る前に、よく使う資材を一度確認しておく。その小さな余裕が、いざという時に会社を助けてくれます。
3. 代替品を事前に試しておく
いざ欠品してから初めて代替品を探すと、判断がどうしても慌ただしくなります。できれば平常時に、候補となるワックスや洗剤、パッドを小規模な現場やテストスペースで試しておくことをおすすめします。
乾燥時間、塗りやすさ、臭い、光沢、滑り感、洗浄力、既存資材との相性。こうした情報を自社の中に蓄積しておけば、いざという時の判断が早くなります。
4. 繁忙期前の前倒し発注を意識する
エアコンクリーニングの繁忙期、年度末の床メンテナンス、長期休暇中の定期清掃など、清掃業には資材使用量が増える時期があります。
その時期に入ってから発注するのではなく、少し早めに必要量を確認しておく。必要な資材を余裕を持ってそろえておくことは、現場スタッフの安心にもつながります。
5. 顧客への説明を準備しておく
資材不足が起きた時に、お客様へどう説明するかも重要です。
「商品がないので作業できません」とだけ伝えると、不安や不信につながります。一方で、「従来使用していた資材の供給が不安定なため、同等品の確認を行い、品質を落とさない形で日程や資材を調整します」と説明できれば、プロとしての姿勢が伝わります。
資材の調達力も、これからは清掃会社の信頼を支える要素になるはずです。
販売店として、当店ができること
今回の「RISING STAR 煌Ag+」の欠品について、当店は自社の反省点として重く受け止めています。今後は、主力製品の需要予測や在庫確保をより慎重に行い、できる限り安定して商品をお届けできるよう努めてまいります。
同時に、これからの供給不安は、当店一社の努力だけですべて解決できる問題ではありません。メーカーの生産状況、原料の確保、物流、輸入品の遅延、価格改定など、複数の要因が絡み合っています。
だからこそ当店としては、できる限り早い情報提供、代替品のご提案、納期状況の共有、現場用途に応じた商品選びのサポートを続けていきたいと考えています。
ただ商品を並べるだけでなく、清掃業者の皆様が現場を止めないための判断材料を届けること。それが、これからの販売店に求められる役割だと感じています。
「届く前提」から「備える前提」へ
清掃業は、現場で体を動かす仕事です。床を洗い、ワックスを塗り、ガラスを磨き、エアコンを分解し、汚れと向き合う仕事です。
しかし、その現場を支えているのは、見えないところにある原料、物流、メーカー、販売店、在庫の仕組みです。どれか一つが大きく揺らげば、現場の予定や品質にも影響が出ます。
これまで当たり前だった「注文すれば届く」は、これから少しずつ当たり前ではなくなるかもしれません。
だからこそ、清掃会社に必要なのは、不安に振り回されることではなく、必要な資材を、必要な時に、確実に使える状態を作る力です。
少し余裕を持って備えることは、決してぜいたくなことではありません。現場を守り、お客様との約束を守り、会社の信用を守るための、静かで堅実な準備です。
当店ポリッシャー.JPも、その準備のお役に立てる存在でありたいと考えています。できる限り正確な納期情報をお伝えし、代替品のご提案や商品選びのサポートを行いながら、清掃業者の皆様が現場を止めずに仕事を続けられるよう努めてまいります。
資材調達は、単なる仕入れではありません。清掃品質を守り、顧客との約束を守り、会社の利益を守るための経営判断です。
清掃品質を守る会社は、道具を使う前から、すでに現場を守り始めています。

















































































