洗剤を売る店が、洗剤を減らす話をします ─ アルカリ電解水の得意なこと、苦手なこと
洗剤を売っている店が、「洗剤を減らせます」という話をする。少し妙に聞こえるかもしれません。売る側にとって、自分たちが売っている洗剤の出番が減る話は、なかなか切り出しにくいものです。
当店にも、エアコン洗剤や油汚れ用、カーペット用の洗剤が並んでいます。その一方で、蔵王産業のアルカリ電解水生成機「ZKシリーズ」と、そこでつくった電解水を容器に詰めた「ZKウォーター」も販売しています。
電解水でできることを紹介すれば、これまでお買い求めいただいていた洗剤の出番が減るかもしれません。それでも、この話はきちんとお伝えしておきたい。そう思ったきっかけは、あるお客様の一言でした。
1. 「洗剤は使っていないんです」というお客様
先日、ポリッシャーをご購入いただいたお客様と、お話しする機会がありました。床清掃は老人保健施設の居室が中心で、退去後に部屋が空いたタイミングで清掃に入るそうです。
そのお客様から、普段の床やカーペットの清掃は、洗剤を使わずアルカリ電解水で行っている、と伺いました。「気楽」という言葉も印象に残りました。洗剤を売る店としては、うなずきながらも、少し複雑な気持ちになります。
新しい商品を勧めると、これまで売っていた商品の出番が減る。商売では「共食い」と呼ばれる話です。iPodを売っていたAppleが、音楽も聴けるiPhoneを発売したように、自社の商品同士で役割が重なることはあります。規模はずいぶん違いますが、当店の洗剤の棚でも、似たことが起こるわけです。
当店では今も、自社で企画したエアコン洗剤や油汚れ用洗剤を販売しています。以前には床用洗剤を3〜4年ほど販売し、取り扱いを終えたこともありました。理由はひとつではありませんが、洗剤をつくり、売り続ける難しさは経験しています。
だからこそ、お客様にとって使いやすく、仕事の助けになるものは、当店のほかの商品と役割が重なっても紹介したい。それが、今回の話の出発点です。
2. 「気楽」なのは、使い分けの手間が減るから
現場に持っていく洗剤を選ぶ。汚れに合わせて薄める。拭いたあとに、水拭きをもう一度するか判断する。慣れた仕事でも、小さな判断や準備は毎回あります。洗剤の種類を増やしたところで、車に積み込める量が増えるわけではありません。
アルカリ電解水が役立つのは、汚れや素材に合っていれば、同じ電解水をいくつもの作業に使えることです。ZKウォーターにはpH12.5と、より濃いpH13.1の2種類があり、用途に合わせて原液、または薄めて使います。例えば、手すりやドアノブの拭き掃除、ガラスや鏡、床、カーペット、厨房まわり。それぞれに適した濃さで使えば、用意する洗剤の種類や、使い分けの手間を減らせる場面があります。
アルカリ電解水は、アルカリの働きで皮脂などの油汚れを落としやすくします。ZKウォーターは合成界面活性剤を含まないため、洗剤分を洗い流す手間を減らせることも特長です。洗浄の仕組みについては、蔵王産業の紹介動画でも説明されています。
メーカーの使い方資料では、手が触れる場所の拭き掃除などは、適切に希釈した電解水で拭き上げれば、すすぎのための二度拭きは不要とされています。
もちろん、素材の確認や濃さの調整は必要です。それでも、毎回いくつもの洗剤を選び直す手間が少なくなる。お客様の言う「気楽」には、そんな意味もあるのだと受け取りました。
3. 任せられることと、任せないほうがいいこと
ここまで読むと、洗剤の棚を丸ごと片づけたくなるかもしれません。ただ、アルカリ電解水にも得意・不得意があります。
- すでに固く付着した尿石や、鏡のウロコを落とす用途には向きません。
- 染料で色が付いてしまったシミは、電解水では取り除けません。
- 酸性洗剤と混ぜると、互いの働きを打ち消し合います。混ぜて使わないでください。
日常清掃で尿の成分を洗い落とすことと、固く付いてしまった尿石を除去することは、別の作業です。後者には、その汚れに合う洗剤や道具を選びます。
素材にも注意が必要です。ウールなど天然素材のカーペットは、アルカリによる変色や風合いの変化を避けるため、当店では電解水の使用をおすすめしていません。
樹脂ワックス仕上げの床やフローリングの日常清掃では、メーカー資料の目安はpH12.5で50〜100倍、pH13.1で200〜400倍です。床材や仕上げの指定を優先し、目立たない場所で確かめてから使ってください。アルミなど、強いアルカリの影響を受けやすい素材も、濃さや接触時間に注意が必要です。
また、カーペット清掃では、シャンピングポリッシャーのタンクから直接滴下する方法はおすすめしていません。泡立たず、均一に広げにくいためです。先にスプレーで散布するなど、用途に合った方法で使います。
「水」という名前でも、強いアルカリ性の液です。目に入ると強い痛みがあります。作業時は手袋と保護メガネを着用してください。
ZKウォーターはもちろん、生成機でつくった電解水についても、SDS(安全データシート)が用意されています。清掃先から提出を求められたときも、ご相談いただければお渡しできます。
使える場所と使わない場所が分かれば、電解水と洗剤を無理なく使い分けられます。
4. 「前に使ったけど落ちなかった」。そのときの濃さは?
洗剤を汚れに合わせて選ぶのと同じように、アルカリ電解水も、まずは汚れと素材に合っているかを確かめることが大切です。そのうえで、使う濃さを調整します。
皮脂や手垢、油汚れ、タバコのヤニなどに使って「落ちなかった」という場合は、使った電解水のpHや希釈倍率を見直してみてください。薄すぎて、十分に働いていなかった可能性もあります。
例えば、pH11とpH13.1では、アルカリ性の強さに大きな差があります。メーカーが示す「約125倍」は、アルカリ性の指標となる水酸化物イオンの濃度を比べた目安です。洗浄力がそのまま125倍になる、という意味ではありません。
泡立ちや香りを手がかりに、濃さを判断しにくいのも電解水の特徴です。「電解水を使った」というだけでは、どの濃さで使ったのかまでは分かりません。
pH13.1のZKウォーターを4倍に薄めるとpH12.5前後、10倍でpH12.1、100倍でpH11.1になる計算です。これらは理論上の目安で、実際のpHは希釈する水や保管状態などによって変わります。
濃い電解水を持っていき、現場で必要な濃さに調整する。そんな使い方ができます。ただし、汚れ落ちは濃さだけで決まるものではありません。素材に適した希釈範囲の中で、薄めの濃度から試し、汚れの種類や洗い方も含めて見直すことが大切です。
5. カーペット、剥離、エアコンでは、どう使う?
【カーペット】洗剤分を残しにくいことが強み
カーペット清掃は、アルカリ電解水の特長を生かせる用途のひとつです。
洗剤で汚れを落としたあと、その洗剤分を繊維に残さないことも、カーペット清掃では大切です。残った洗剤分が、再び汚れを呼び込む原因になることがあります。電解水には合成界面活性剤が含まれないので、洗剤分を繊維に残したくない場面で役立ちます。ただし、浮かせた汚れや余分な水分を回収し、しっかり乾かす作業は必要です。
使い方は、スプレーで散布してパッドで拭き上げる方法や、散布後にポリッシャーで洗浄し、エクストラクター(リンサー)で回収する方法があります。エクストラクターの清水に、希釈した電解水を使う方法も紹介されています。
希釈の目安はpH12.5で原液〜30倍、pH13.1で4〜120倍。ここでは化学繊維のカーペットを対象とし、素材や色落ちを確認して使います。
【ワックスの剥離】剥離剤は選ぶ。では、薄める水は?
剥離剤の銘柄や希釈倍率は、じっくり考える。でも、薄める水はいつもの水道水。この「水」を電解水に替える使い方があります。
メーカー資料では、剥離剤を電解水で薄めると、ワックス皮膜に浸透しやすく、途中で乾く「ドライバック」も起きにくくなるとしています。1回の塗布で剥離を進め、塗り直しの手間や剥離廃液を減らす狙いです。
この記事は「洗剤を減らす話」ですが、ここで減らしたいのは、塗り直しや剥離のやり直しです。剥離剤は、指定された濃度で使います。
手順は、電解水をpH12.5なら原液〜5倍、pH13.1なら原液〜20倍の範囲に調整し、それを剥離剤の希釈水に使います。メーカー資料では、剥離剤はその製品で指定されている最も濃い希釈倍率で使うよう案内されています。組み合わせる剥離剤の表示やメーカーに、電解水で希釈してよいかを確認し、最初は狭い範囲で試してください。
【エアコン】すすぎの手間を減らせても、すすぎは必要
電解水を使ってエアコンを洗浄する方法もあります。メーカー資料の希釈目安はpH12.5で原液〜30倍、pH13.1で4〜120倍。適切に希釈した液で洗浄し、最後は水道水ですすぎます。使用する機種や部材に適合することを確かめてから行ってください。
電解水単独で洗浄する方法について、メーカー資料では酸性水で中和するすすぎは不要としています。ただし、「すすぎ自体が不要」という話ではありません。汚れやアルカリ分を残さないよう、水道水で十分に洗い流すことが前提です。
油汚れが強い場合は、お湯で希釈する方法も紹介されています。また、対応する中性・アルカリ性洗剤と組み合わせる使い方もありますが、併用する洗剤と機器の指定を確認してください。
電解水でも、アルカリの濃さや接触時間によってはアルミフィンを傷めます。泡や洗剤分を流す負担を減らしながら、必要なすすぎはきちんと行う。手間を減らせる部分と、省いてはいけない工程を分けて考えることが大切です。
6. まず試す。それから「電解水を買う」か「自分でつくる」かを決める
ここで、販売店としての本音も少し。洗剤の出番が減っても、電解水や生成機をご購入いただければ、当店の商売にもつながります。洗剤を減らす話をしているからといって、商売をやめるわけではありません。
ただ、生成機は大きな買い物です。まずは自分の現場で使って、仕上がりや作業のしやすさを確かめてください。
お試しをご希望の方は、お試し希望フォームからお申し込みください。会社名・屋号、業種、所在地、現在使っている洗剤、電解水を使いたい用途などを伺います。内容を確認したうえで、蔵王産業の地域担当者からご連絡し、訪問して使い方をご説明します。ご回答の内容によっては、ご希望に添えない場合があります。
使ってみて手応えがあれば、まずはZKウォーターを買って使い続ける方法があります。pH12.5(20L)とpH13.1(4L)の2種類で、どちらも税別15,400円です。
使用量が増えてきたら、生成機で自分たちでつくる方法も検討できます。生成機はメーカーが設置場所へお届けし、据え付けます。選ぶときは、必要な量に加えて、誰が操作し、補充や取り出しにどのくらい手をかけられるかも考えてみてください。
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ZK-minipH13.1を15分で1L生成。その後、60分の休止が必要です。水道直結不要で、少量ずつつくる使い方に向いています。税別508,300円。
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ZKプレミアム1時間でpH12.5を約20L、またはpH13.1を約4L生成。生成のたびに専用添加剤POCAを手動で投入し、できた電解水を取り出します。税別1,079,500円。
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ZKリミテッドPOCAを自動で補充し、1セットで最大10時間生成。pH12.5で最大200L、pH13.1で最大40Lをタンクにためられます。税別1,385,500円から。タンクは別売りです。
価格はいずれも2026年10月時点です。プレミアム・リミテッドには別途地域別送料がかかります。
プレミアムとリミテッドは、電解水をつくる前に水道水を純水にしており、純水だけを取り出すこともできます。ただし、窓拭きの仕上げやソーラーパネルの洗浄に、たっぷり使えるほどの量はつくれません。
例えば、補水が必要なタイプの鉛バッテリーに使う補充用の純水として活用できます。電解水をつくるために備わっている純水生成機能を、別の用途にも生かせる。これもちょっとした利点です。
「機械を導入したら、機械のお世話という仕事が増えた」。そんな経験がある方は、補充や取り出しの手間も気になるところだと思います。
プレミアムとリミテッドは、1時間に生成できる量は同じです。大きな違いは、次の生成に向けた添加剤の補充を、人が行うか、機械に任せるか。現場へ出る日もあれば、電話や別の仕事で手が離せない時間もあります。価格差を見るときは、生成量だけでなく、「機械のところへ戻る手間」も一緒に比べてみてください。
今の電解水の購入費と自家生成の費用を比べたい方は、ZKプレミアムの商品ページにある計算機も使えます。フィルターや電解セルの交換費用、作業時間など、計算に含まれない項目もありますので、前提を確認して目安としてお使いください。
洗剤の棚をどうするかは、自分の現場で試してから決めれば十分です。任せられる作業は電解水に任せ、必要な洗剤は引き続き使う。その組み合わせで、仕事が少しでもやりやすくなればと思います。
洗剤を減らす相談に乗るのも、洗剤を売る店の仕事です。
商品情報・価格は2026年10月確認。使い方の目安は、以下のメーカー資料と商品ページを参照しています。
- 蔵王産業:ZKシリーズ 紹介動画
- 蔵王産業:強アルカリイオン電解水 使い方のヒント集 ビルメンテナンス編(ZKプレミアム対応版)
- ポリッシャー.JP 商品情報:ZK-mini/ZKプレミアム/ZKリミテッド/ZKウォーター pH12.5[20L]/ZKウォーター pH13.1[4L]
- Apple:アップル、iPhoneで携帯電話を再定義























































































