強浸透洗剤って、なに❓

強浸透洗剤って、なに?

「強浸透洗剤」とは、従来の床洗剤とは異なり、ワックス皮膜に浸透した抱き込み汚れまでを取り除く高性能な床洗浄用クリーナーのことです。各ケミカルメーカーが製品の特徴を「洗浄以上はくり未満」「ハードスクラブ」「表層剥離」「半はくり」「剥離洗浄」など、様々な言葉で表現していますが、ポリッシャー.JPではこれらの洗剤をまとめて「強浸透洗剤」と定義しています。本ページでは、「強浸透洗剤」の特徴、各製品の詳細についてご紹介します。


強浸透洗剤の特徴


・深い浸透力:一般的な床洗剤よりもワックス皮膜に深く浸透し、汚れを抱き込んでいる層までしっかりと除去。
・表層皮膜だけを軟化:下層皮膜を残し不要な上層皮膜だけ除去できるので、膜厚のコントロールが可能。
・ワックス塗布に好影響:下層被膜へのダメージが少ないので、洗浄後のワックス塗布の仕上がりが良好。
・除去皮膜の厚さ調整:希釈倍率を変えることで、取り除く皮膜の厚みを自在に調整可能。
・作業効率の向上:低泡性やノンリンス機能により、作業時間を短縮し、効率的な清掃が可能。
・剥離周期の延長:ワックス皮膜のビルドアップを防ぐため、剥離作業を行うサイクルを延ばすことが可能。

強浸透洗剤を使用する場合、基本的には通常の床用洗剤と変わりませんが、以下の注意事項があります。
・濃い希釈では、すべりやすくなることがある
・状況によっては、汚水回収後の水洗い(水拭き)を念入りに行う必要がある


各製品のキーワード


・ユシロ:「洗浄以上はくり未満」
・ペンギンワックス:「ハードスクラブ」
・シーバイエス:「表層剥離」
・ミッケル化学:「半はくり」
・横浜油脂工業:「剥離洗浄」

これらのキーワードは、各メーカーが自社製品の特徴を伝えるために設定したものであり、広義には同じ意味を持ちます。これらの用語は、強浸透洗剤を使ってワックス床を洗浄する際に、床表面で起こっている状態を表現しています。

メーカーは、その他の関連するキーワード「減膜」「膜厚コントロール」「膜厚管理」「中間剥離」「軽剥離」「深洗浄」「強洗浄」などを用いて、製品の説明をしています。


汚れ除去のメカニズム(断面図)


以下の図は、床表面の汚れを除去する状況を表したもので、強浸透洗剤がどのようにワックス皮膜に浸透して汚れを取り除くかを示しています。

強浸透洗剤の洗浄イメージ

出典元:ミッケル化学 半はくりクリーナー資料


作業方法(一般的方法)


※作業方法や作業手順は、各製品により違いがありますので、それぞれの製品詳細もご確認ください

準備

・必要な道具: 保護メガネ、ゴム製手袋、ゴム製保護衣、洗浄パッド
・希釈方法: 使用状況に応じて20〜50倍に希釈
・推奨パッド:緑パッド、青パッド、赤パッド、SPPエキストラ、ダイヤモンドパッド

作業手順

1. 除塵:ダスタークロスやバキュームでゴミや埃を除去します。
2. 洗剤塗布:洗剤の希釈液を適量塗布し、均一に広げる。
3. ポリッシャー洗浄:ポリッシャーにフロアパッドを取り付け洗浄。
4. 汚水回収:ウェットバキュームやドライワイパーで汚水を回収。
5. 水拭き:モップで水拭きを行い、床面を乾燥させる。
6. ワックス塗布:状況に応じて、必要回数ワックスを塗布する。


製品紹介


ユシロ ハイブリッドクリーナー

膜厚コントロール型表面洗浄剤。洗浄とはくりの中間の洗浄が可能です。皮膜の過剰な蓄積が防止され、はくり周期の延長とはくり作業の軽減ができます。新開発アルカリ剤を配合することで、洗浄ムラになりにくく、高濃度で使用してもべたつかないので、洗浄後の床面がサラッと仕上がります。




ユシロ シャンピングハイブリッド

高い洗浄性能に加え、作業性をとことん追求。洗浄ムラになりにくく、圧倒的な洗浄力。ハイブリッドクリーナーの特長である皮膜溶解力に加え、シャンピング洗浄に欠かせない即効性があるため、高い美観が実現出来ます。小分け不要で持ち運び便利 タンク付ポリッシャーによるタンク出し洗浄で、モップ塗布での洗浄と同等の皮膜溶解力を有します。従来に比べ、スピーディーな作業で汚れをしっかり除去する事が出来ます。



ペンギンワックス セイバー 深洗力

樹脂塗膜深層部に抱き込まれた汚れ、黒ずみをすっきり洗浄できます。汚れた塗膜を除去するハードスクラブに最適。アルカリ剤を適切に配合し、洗浄ムラになりにくく、ベタつきのないさらっとした洗い上がり。除菌剤配合、フレッシュハーブの香り。



シーバイエス 洗浄王プラスC

軽洗浄から表層剥離まで幅広い用途に対応する多機能クリーナーです。アルコール系溶剤を配合し、速効洗浄が可能で、タンク付きポリッシャーでの使用に最適です。洗浄後のベタつきを抑え、ワックス塗布が容易になります。また、無香料で低臭設計のため、作業中も快適に使用できます。ビルメンテナンス、リテール、ホテル・宿泊施設などで活躍する製品です



ミッケル化学 半はくりクリーナー

汚れた表層皮膜を除去し、きれいな皮膜層に戻すためのクリーナーです。希釈倍率を調整することで、除去する皮膜の厚さを自在にコントロールできます。独自の浸透・溶解抑制技術により、汚れや黒ずんだ皮膜を均一に除去し、美観を保ちます。ノンリンスで作業が簡略化され、低泡性で泡切れも良好。ビルドアップを防ぎ、剥離周期を延長することで、メンテナンスの効率が向上します。



横浜油脂工業 剥離洗浄剤

強力な洗浄力と優れた作業性を持つ高性能クリーナーです。希釈倍率とパッドの組み合わせにより、広範な洗浄から剥離作業まで対応可能です。低泡性で泡切れが良く、汚水タンクが溢れないため、作業効率が向上します。廃液のベタつきが少なく、低粘度で汚水の回収もスムーズです。プロフェッショナルな清掃作業において、信頼性の高いパフォーマンスを提供します。



【番外製品】溶剤の力に頼らず中間剥離


上の6製品は、含有する溶剤成分が効果的に働き、汚れを抱き込んだワックス層に反応します。一方、エコ フォース プラスは溶剤成分を含まず、代わりに独自成分がワックス層に作用し、汚れたワックス層を取り除くことができる強浸透洗剤です。 希釈倍率と塗布後の時間を調整することで、汚れたワックス層までをふやかして除去することができます。その作業方法を「中間剥離」と表現しています。



ECO FORCE PLUS(エコ フォース プラス)

定期清掃に最適なアルカリ性マルチクリーナー。マイナスイオンの特性を活かした新しい理論の洗浄剤。汚れたワックス層だけを取り去る今までに無いアルカリ性洗剤で、ワックスリコート前のディープスクラブに最適です。洗浄後のワックス表面のべたつきが無く、ワックス塗布が容易です。


まとめ


現在のように強浸透洗剤が普及する前、同様の効果を求めて床洗浄の現場で「ある裏技的方法」が行われていたことをご存知でしょうか。その方法とは、従来の洗剤にワックス剥離剤を加えるというものです。この方法は、抱き込み汚れを除去し、強浸透洗剤に近い効果を発揮させるため、一部の清掃業者によって行われていました。

しかしこの方法は、剥離剤の種類や量により効果はまちまちで、コントロールするには熟練が必要でした。洗浄ムラが起きたり、下層被膜へ浸透が広がり、「気づけば、洗浄作業が剥離作業に変わっていた」なんていうことにもなりかね無い方法でした。でも現在では、強浸透洗剤の普及により、そんな裏技の必要性は、ほとんどなくなったと言えるでしょう。

強浸透洗剤は、従来の洗浄方法に比べて作業効率や清掃品質の向上に大きく寄与しています。これにより、床メンテナンスの頻度やコストも抑えることが可能となりました。各製品の特性を理解し、適切に使用することで、より効果的な清掃が実現します。特に、膜厚コントロールや表層皮膜の除去といった特徴を活かせば、ワックス塗布後の美観や耐久性も向上します。

今後も強浸透洗剤の技術革新が進むことで、さらに効果的な清掃方法が開発されることが期待されます。皆様の清掃業務において、強浸透洗剤を活用し、より良い成果を上げていただければ幸いです。



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